今回はN700Aモデルを開発するにあたり
一番大きな壁だった事をお話したいと思います。
またまた長文ですが
お付き合い頂けると嬉しいです。
実はこのモデル。
E5系E6系連結モデルなど初期シリーズと同時に開発が進んでいました。
でも何故、こんなに遅くなってしまったか?
それは…
『白いリュックは汚れが目立つ』
というデメリットがあったからです。
大人と違い、3歳〜5歳の子供達は汚れるのが仕事みたいなもの。
走って転んで食べて飲んで。
いつだって全力投球な彼らですからw
そんな彼らが使うリュック。
汚れない訳がありませんよね。
保育園などの登園専用なら、基本的な管理は親がしますし
行き帰りだけ使うのでそんなに汚れませんが
休日のお出かけ用だと一瞬で。。。
そこで、
『汚れに強い素材』を探すことにしたのですが
なかなか良い素材がありません。
例えば…
・ターポリン:ナイロンメッシュをポリビニルなどの素材でサンドイッチした素材。
・合皮素材:ポリウレタンやポリビニル系素材。エナメル合皮もここに含みます。
・ポリ系コーティング素材:ベースになる素材も様々あり、表面に樹脂コーティングされた素材。
などがあるのですが、これらに共通しているメリットは
・生地表面の防水性
・汚れても拭き取れる
というもの。
そして、
これは私の考える『子供向けアイテム』に対するデメリットなのですが
・重い
・傷つきやすい、傷ついたら回復できない
・硬い(特に気温の低い場所や時期は硬くなってしまいます)
・水分に弱い(雨水や湿度など。ポリウレタンは加水分解する性質が…)
などがあります。
短期では、これらの不具合はあまり出ませんが
例えば3歳児クラスから3年間、4年間と長期間使っていくうちに。。。
必ず経年劣化してしまいます。
この中で、いくつか改善できる事はあるのですが
生地の価格が高くなってしまうのと、
生産最小ロットが多くなりやすいという別の懸念が発生してしまいます。
現在のちいくばっぐに付加されている機能性を損なう事なく
汚れに強い素材。。。
結論としては、見つかりませんでした。(ごめんなさい)
従来の製品に使用している生地はポリエステル製のバッグ用素材なのですが
作っているのは登山用リュックに使用する生地をメインに製造されている生地メーカーさん。
高密度で織られており、裏加工のPU(ポリウレタン加工)も厚く
強度、撥水性、軽量、と生地自体の性能も高いので
もう15年以上使っている私のお気に入り素材です。
(今年7歳になる長男さんが2歳半から使っているE5 x E6連結モデルもまだまだ現役です!)
その機能性を超える素材が見つからない。。。
ならば!
今の生地で、どのくらい汚れてしまうのか。
汚れた場合、どうしたら綺麗になるのか。
それによるデメリットは?
という疑問に答えを出すために今年の4月21日からサンプルを試用開始しました。
ですが、3ヶ月経過してもなかなか汚れないw
上部のバックル付きループを使ってフェンスなどに固定してしまうので
地面に直接置くことも無く。
友達と外遊びする…という普通の遊びも今年はできなかったので
綺麗さは変わらず。。。
そこで
商品参加型コミュニティー"ばっぐらぼ"のメンバーの皆さんに協力していただき
約1ヶ月間、サンプルを使って頂きました。
北は仙台。南は香川まで。
各地にいらっしゃる研究員の方々にお願いしたのはただ一つ。
とにかく思いっきり汚して下さい!
でしたw
汚れなんか気にせず、楽しく使ってもらって…
ちょうど夏休みが始まる頃〜休み明けの登園時期でしたので
オンオフ両方のシチュエーションで検証ができました。
ありがとうございました!
さて。
だいぶ前置きが長くなってしまいましたが
実験の内容と結果のご報告です!
帰ってきたサンプルたち。
ぱっと見、綺麗そうですが汚れていますw
それでは始めましょう。
この汚れたちをどうしたら良いか。。。
綺麗にする手間が一番かからなくて、
衛生的なケア方法。
そうです。
洗濯機洗いです。
バッグを洗濯機で洗う事は、基本的に生地や部材を痛めることにつながりますから、バッグの素材や構造、作られ方、洗濯する頻度、洗い方、干し方によって、バッグに不具合が生じる可能性があります。
例えば皮革や合皮製のバッグ。
特にハンドバッグ調のものは絶対に洗ったらダメです。
ちいくばっぐは、登園リュックとしての用途を想定していましたので
インフルエンザやノロやロタ、結膜炎などなど…
除菌・抗菌素材では防ぐことのできない
ウイルスや菌類などを持ち帰ってしまう可能性を考慮して
開発しています。
(除菌・抗菌の効果がある素材はたくさんありますが、生地だけに限定するとほとんどのものが『黄色ブドウ球菌』に対する効果実証試験を行い、除菌・抗菌を謳っています。つまり、それ以外の菌やウイルスに対する効果は不明なんです。全ての菌やウイルスを検査する事は現実的ではないので仕方ないのですが。。。なので、私は基本的に使いません。)
もちろん除菌スプレーも有効だと思いますが、
散布して死滅(あるいは無効化)したウイルスや菌はどこへ?
という疑問も個人的にはあって…やっぱり洗い流すのが一番安心!
って思ってしまうのです。
ただ、週一などのペースで頻繁に洗濯すると不具合が生じてしまうかもしれませんので別の機会に検証をしてみますね。
ということで。
早速、洗っていきましょう!
洗ったら干します♪
そして、今回発生した不具合はこれです。
これはバッグ用の生地が『洗濯を想定していない』ことが原因です。
干す前に細部までしっかりと揉み延ばしをすると、起こりにくくなります。
あと、必ずネットに入れて下さい!
リュックだけでは無く、一緒に洗った衣類も傷がつく可能性あります。
理想はリュックだけを洗濯。。。ですが、水がもったいないので
何かの洗濯物と一緒に洗うと思いますが、ネットに入れない場合、
例えば衣類のボタンや金属ファスナーなどが当たったり
リュックのプラスチック部品や金属製の引手が当たったり。
特にドラム式は注意が必要です。
では汚れがどうなったか…
まずはケチャップ汚れ。
続いて底部。
そして全体汚れ。
最後にボールペンです。
やはりボールペンの汚れは難しいですね。
最後に未使用品との比較写真です。
ぱっと見では、私もほとんど違いがわからないくらいw
綺麗になりました。
洗うことで撥水性が落ちてしまいますが、その場合は市販の撥水スプレーでコーティングして頂ければ復活します。
(スプレーでのコーティングもコツがありますので、それも改めて。)
手間がかかってしまい面倒ではありますが
衛生的にもキレイな状態で永くご利用頂く参考にして下さいましたら幸いです。
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一番大きな壁だった事をお話したいと思います。
またまた長文ですが
お付き合い頂けると嬉しいです。
実はこのモデル。
E5系E6系連結モデルなど初期シリーズと同時に開発が進んでいました。
でも何故、こんなに遅くなってしまったか?
それは…
『白いリュックは汚れが目立つ』
というデメリットがあったからです。
大人と違い、3歳〜5歳の子供達は汚れるのが仕事みたいなもの。
走って転んで食べて飲んで。
いつだって全力投球な彼らですからw
そんな彼らが使うリュック。
汚れない訳がありませんよね。
保育園などの登園専用なら、基本的な管理は親がしますし
行き帰りだけ使うのでそんなに汚れませんが
休日のお出かけ用だと一瞬で。。。
そこで、
『汚れに強い素材』を探すことにしたのですが
なかなか良い素材がありません。
例えば…
・ターポリン:ナイロンメッシュをポリビニルなどの素材でサンドイッチした素材。
・合皮素材:ポリウレタンやポリビニル系素材。エナメル合皮もここに含みます。
・ポリ系コーティング素材:ベースになる素材も様々あり、表面に樹脂コーティングされた素材。
などがあるのですが、これらに共通しているメリットは
・生地表面の防水性
・汚れても拭き取れる
というもの。
そして、
これは私の考える『子供向けアイテム』に対するデメリットなのですが
・重い
・傷つきやすい、傷ついたら回復できない
・硬い(特に気温の低い場所や時期は硬くなってしまいます)
・水分に弱い(雨水や湿度など。ポリウレタンは加水分解する性質が…)
などがあります。
短期では、これらの不具合はあまり出ませんが
例えば3歳児クラスから3年間、4年間と長期間使っていくうちに。。。
必ず経年劣化してしまいます。
この中で、いくつか改善できる事はあるのですが
生地の価格が高くなってしまうのと、
生産最小ロットが多くなりやすいという別の懸念が発生してしまいます。
現在のちいくばっぐに付加されている機能性を損なう事なく
汚れに強い素材。。。
結論としては、見つかりませんでした。(ごめんなさい)
従来の製品に使用している生地はポリエステル製のバッグ用素材なのですが
作っているのは登山用リュックに使用する生地をメインに製造されている生地メーカーさん。
高密度で織られており、裏加工のPU(ポリウレタン加工)も厚く
強度、撥水性、軽量、と生地自体の性能も高いので
もう15年以上使っている私のお気に入り素材です。
(今年7歳になる長男さんが2歳半から使っているE5 x E6連結モデルもまだまだ現役です!)
その機能性を超える素材が見つからない。。。
ならば!
今の生地で、どのくらい汚れてしまうのか。
汚れた場合、どうしたら綺麗になるのか。
それによるデメリットは?
という疑問に答えを出すために今年の4月21日からサンプルを試用開始しました。
ですが、3ヶ月経過してもなかなか汚れないw
上部のバックル付きループを使ってフェンスなどに固定してしまうので
地面に直接置くことも無く。
友達と外遊びする…という普通の遊びも今年はできなかったので
綺麗さは変わらず。。。
そこで
商品参加型コミュニティー"ばっぐらぼ"のメンバーの皆さんに協力していただき
約1ヶ月間、サンプルを使って頂きました。
北は仙台。南は香川まで。
各地にいらっしゃる研究員の方々にお願いしたのはただ一つ。
とにかく思いっきり汚して下さい!
でしたw
汚れなんか気にせず、楽しく使ってもらって…
ちょうど夏休みが始まる頃〜休み明けの登園時期でしたので
オンオフ両方のシチュエーションで検証ができました。
ありがとうございました!
さて。
だいぶ前置きが長くなってしまいましたが
実験の内容と結果のご報告です!
帰ってきたサンプルたち。
ぱっと見、綺麗そうですが汚れていますw
それでは始めましょう。
この汚れたちをどうしたら良いか。。。
綺麗にする手間が一番かからなくて、
衛生的なケア方法。
そうです。
洗濯機洗いです。
バッグを洗濯機で洗う事は、基本的に生地や部材を痛めることにつながりますから、バッグの素材や構造、作られ方、洗濯する頻度、洗い方、干し方によって、バッグに不具合が生じる可能性があります。
例えば皮革や合皮製のバッグ。
特にハンドバッグ調のものは絶対に洗ったらダメです。
ちいくばっぐは、登園リュックとしての用途を想定していましたので
インフルエンザやノロやロタ、結膜炎などなど…
除菌・抗菌素材では防ぐことのできない
ウイルスや菌類などを持ち帰ってしまう可能性を考慮して
開発しています。
(除菌・抗菌の効果がある素材はたくさんありますが、生地だけに限定するとほとんどのものが『黄色ブドウ球菌』に対する効果実証試験を行い、除菌・抗菌を謳っています。つまり、それ以外の菌やウイルスに対する効果は不明なんです。全ての菌やウイルスを検査する事は現実的ではないので仕方ないのですが。。。なので、私は基本的に使いません。)
もちろん除菌スプレーも有効だと思いますが、
散布して死滅(あるいは無効化)したウイルスや菌はどこへ?
という疑問も個人的にはあって…やっぱり洗い流すのが一番安心!
って思ってしまうのです。
ただ、週一などのペースで頻繁に洗濯すると不具合が生じてしまうかもしれませんので別の機会に検証をしてみますね。
ということで。
早速、洗っていきましょう!
洗ったら干します♪
そして、今回発生した不具合はこれです。
これはバッグ用の生地が『洗濯を想定していない』ことが原因です。
干す前に細部までしっかりと揉み延ばしをすると、起こりにくくなります。
あと、必ずネットに入れて下さい!
リュックだけでは無く、一緒に洗った衣類も傷がつく可能性あります。
理想はリュックだけを洗濯。。。ですが、水がもったいないので
何かの洗濯物と一緒に洗うと思いますが、ネットに入れない場合、
例えば衣類のボタンや金属ファスナーなどが当たったり
リュックのプラスチック部品や金属製の引手が当たったり。
特にドラム式は注意が必要です。
では汚れがどうなったか…
まずはケチャップ汚れ。
続いて底部。
そして全体汚れ。
最後にボールペンです。
やはりボールペンの汚れは難しいですね。
最後に未使用品との比較写真です。
ぱっと見では、私もほとんど違いがわからないくらいw
綺麗になりました。
洗うことで撥水性が落ちてしまいますが、その場合は市販の撥水スプレーでコーティングして頂ければ復活します。
(スプレーでのコーティングもコツがありますので、それも改めて。)
手間がかかってしまい面倒ではありますが
衛生的にもキレイな状態で永くご利用頂く参考にして下さいましたら幸いです。
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